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盗聴にパワハラ。常軌を逸したパチンコ店のパート②

盗聴にパワハラ。常軌を逸したパチンコ店のパート①の続きです。


違和感が大きくなったのは、店長が事務所に居て、従業員が休憩室で談話していた時のこと。

今まで店長の横暴ぶりに耐え続けていた正社員の一人が「もう爆発しそうだ。店長にはついていけない」と心情を暴露しはじめた。

みんな相槌を打ってその正社員に共感し、店長の悪口で盛り上がっていたところ、事務所にいた店長が突然、休憩室に飛び込んできた。

一気に静まり返る休憩室。

店長は正社員に向かって、「俺のどこが気に入らないんだ?直接言ってみろ!」といきなり喧嘩腰でまくし立てた。

その権幕に、声にならない声で恐縮する正社員。

しつこく正社員をなじった後、泣きそうなくらいビビッている正社員の姿に満足したのか、店長はまた事務所に戻っていった。

「・・・・店長、凄く絶妙なタイミングで入ってきたね・・・」

あれ絶対どこかから聞き耳たててるよね?聞いてなきゃいきなり怒って入ってくるとかおかしいよね?と皆で不審がっていたものの、その時はまだ壁越しに聞いてるんじゃないか程度に気楽に考えていた。

店長は正社員に対しては女性にも厳しいようだったが、パートやバイトの女性には比較的甘く、容姿や人格などを罵ることもなかった。

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そして知った事実

清掃係のお義母さんとは職場で話す機会もあまりなく、その時はたまたま休憩室で一緒になった。

仲の良い女性従業員も丁度揃ってその場にいた。

お義母さんに、この職場何か変だねと切り出してみたところ・・・

「え?知らないの??この休憩室、盗聴されてるよ

えええええええええっ!!!!!」

大きな悲鳴が上がった。

嘘!!信じられないと取り乱す従業員達。

聞き耳を立ててるどころではなく、事務所では休憩室の映像と音声が全部モニターで流れているとのこと。

偶然それを目撃してしまった人がいて、お義母さんに忠告してくれたらしい。

ありえない、いくらなんでも尋常じゃない、ここ日本だよね?と皆パニックに陥る。

休憩室は鍵がかからず誰でも出入りできるが、ロッカーもあるので着替えている子もいるし、仲良くなった相手とは、人にはとても言えない話をしたりすることもあったよう。

店長に好意を持っていた子も何かしら思うふしがあったようで、裏切られたかのように幻滅し固まっていた。

悪趣味なお店

事務所の扉はオートロックで店長含め一部の人間しか開けられず、その中には何台もモニターが設置されており店内を監視できるようになっていた。

休憩室の天井には堂々と防犯カメラがついていたものの、従業員が事務所に入る時には休憩室の映像は流れていないので、警察沙汰などの緊急時にしか見ないものだと思い込んでいた。

それに、モニターは無音なので、休憩室のカメラだけ音声まで拾われていたとは、誰も想像もしていなかった。

従業員が事務所の扉をノックした後、扉が開くまで毎回一定の時間待たさせられていたが、あれは休憩室のモニターを別の物に切り替える時間だったんだと瞬間的に皆が気づいた。

事務所のオートロックキーを持っている人は全員グルで、休憩室での従業員の様子は盗聴盗撮されていた。

店長が女性のパート・バイトに優しかったのも、男性より女性の方が盗み見て楽しいので、女性は辞めさせないよう言われていたんだろう。

休憩室とロッカールームを分けずに一部屋にしたのも、意図があったとしか思えない。

店ぐるみの盗聴盗撮、この店は初めからその計画を企てるような人たちの集まりなんだと戦慄が走った。

盗み聞きのささやかな報復

お義母さんは、話す機会のあった従業員にはその事を話していて、とっくに広まっているものだと思っていたようだった。

「みんな知らなかったの?悪口でも言うと、店長すぐに血相変えて事務所から飛んでくるからわかりやすいでしょ」

正しくその通りだけど、まさか盗聴だなんて想像もできなかったとうなだれる女性達。

「だからあえて、私『カツラ』の話してやるのよ」

カ・・・カツラ・・・。

会長だか何だか、とにかく一番偉い立場の人が、わかりやすい『カツラ』を頭につけている方だった。

店長からも、あのカツラをつけている方には絶対に無礼がないようにと厳しく注意を受けており、出会った時やすれ違った際のあいさつなど何度も徹底して練習させられた。

そのカツラの重役さんは新規オープンということで頻繁に店を訪れ、他の役職と共に事務所に入り浸ることが多く、一緒に盗撮盗聴を楽しんでいたらしい。

「『あのカツラ、今日もダッサイ服着てるねぇ!』『あのカツラ、ヅラのクセに偉そうにふんぞり返って!』『今日は風が強いから、ヅラも飛んじゃうねー』なんて、わざとカツラ連呼してやるとさぁ・・」

そんな言葉を連呼?!

ショックでいささか混乱気味だった従業員達が、たちまち一気に笑い転げた。

「そうすると、店長が真っ青な顔して休憩室に飛び込んでくるのよ。切羽詰まった顔で椅子に座って、私を睨んでるの。だから、『なんで私が話をすると、店長はすぐ休憩室に来るのかしら?』ってとぼけてやるの!カツラが誰かなんて、こっちは名前は一言も出してないし、店長はなんにも言えずただ黙り込んでるわ」

従業員皆がビビりまくってる店長相手に、お義母さん強い。おばちゃんやるね!と皆が笑い転げながら誉めた。

内心そこまでカツラを責めてはちょっと可哀想と思ってしまったが、盗み聞きしている連中のトップをそこまでコケにするとは、凄い。

カツラを盗聴越しにネタにされて、張りつめた空気が漂ってる役職連中なんて、想像しただけで笑いが止まらなかった。

休憩室の言動が全て事務所で監視されているということは、その後一気に従業員に広まった。

皆一様に驚きを隠せなかったが、今まで数々のパチンコ店を転々としてきた人も、この店は飛びぬけて最低だと眉をひそめていた。

辞める事になった日

ある日、急遽従業員として働く派遣の営業さんが、顔を真っ赤にしていることに気が付いた。

大丈夫か聞くと、大丈夫だという返事と共に、高熱が出てる人の臭いがした。自分の事には構わないでくださいと、近寄って欲しくなさそう。

高熱のことが店長にバレると、自身の体調管理もできないなんて何事かと責められるのが怖い様子で、マスクすらしていなかった。

こんな今どきない、恐怖で従業員を支配するような店長が嫌で、もう辞めた方がいいんじゃないかと考えるようになった。

考えるだけでなく、休憩室でその話をした。

案の定、店長が事務所から飛んできた。もう誰も驚かなかった。

「俺に何か話があるようだけど。別室へ行こうか」と、別室で話し合うことになった。

店長は従業員を従わせるために、わざと恐怖を与えているんだと言った。恐怖を与えなければどんなわがままを言いだすか、その立場にいない人間にはわからないと。

私はパートを辞めるか考えている最中で、決意した訳ではなかったが、店長がその考えのままなら辞めるしかないとカッコつけて言ってしまい、その日限りで辞めることになってしまった。

お義母さんに電話をして「私、辞めちゃったよ」と言うと、仕方ないよねと、少し寂しそうだった。

後日談

数週間が過ぎて、お義母さんがお店の様子を教えてくれた。

高熱が出ていた派遣の営業さんは実はインフルエンザだったようで、マスクすらしてなかったせいで大勢の人に感染し大変な事態になったらしい。

店長もインフルエンザを発症し、あれほど休みに厳しかった店長自身が一週間近く欠勤したと。

そして突然、店長がクビにされた

店長とその直属の部下共々クビになったようで、ある日からパッタリ店に来なくなった様子。

新しい店長に変わり、平穏?な普通のパチンコ店にはなったらしい。

それから一年後には、私の知っている従業員は一人を除き全員辞めたそうだが、最後の一人もしばらくして辞めた。

元店長とその部下は、別のパチンコ店で従業員として働いているのを見かけた人がいるという情報を最後に、元店長が話題に上ることはなくなった。